やおよろず

ゆるふわな内容を書いても良い。と言うか何でも良い。そんな自由度の高いブログをめざします。

10年ぶりに半田ごて持って自作キーボード作ってみた話

この記事は圧倒的令和ッ!!ぴょこりんクラスタ Advent Calendar 2019 - Adventarのために書いたものです。
ちなみに、このブログは一年ぶりに書きました。

はじめに

キーボードってあるじゃないですか。楽器とかの方じゃなくて、パソコンの入力インターフェースとして使われる方。
こんな辺境のブログを読んでいるような方々なら、
人気のキーボードの話とか、Dvorak配列なるものがあるという話とか、青軸赤軸茶軸とか、
様々な奥深さがあることも聞いたことがあるかと思います*1

このあたりの話、個人的には 可能な限り自分専用カスタマイズをしない ことをモットーにしていたので、
あまり深淵の世界に触れることは過去にはありませんでした。

しかし、ここ数年で少し考え方が変わってきて、
有限の時間と体力を有効活用するには、普段の作業環境くらい積極的に改善・カスタマイズしようと思うようになりました。
特に興味をもったのが分割キーボードで、もう少し姿勢良く、無理のない体勢で作業したくなってきたんですよね。

本題

と言うわけで、今回は分割キーボードを自作して使ってみた体験記を書いてみたいと思います。

お買い物フェーズ

まずは末広町にある自作キーボードのお店――遊舎工房さんに向かいました。

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店内のテーブルには大量の自作キーボードが転がっていますし、壁際には比較表とかも貼られています(写真はない)。
見るだけならこれだけでもメチャクチャ楽しいんですけれど、つくるとなると分らないことだらけなので、
なけなしのコミュニケーション力で手近な店員さんに話掛けて、片っ端から説明をして貰うことにしました。

取合えず、キーボードを自作しようとすると、基本キットと、キースイッチと、キーキャップを買う必要がありました。
それぞれ以下のように買いました。

基本キット

プリント基板とか、コネクタとか、スイッチとかの電気部品一式のことを指します。*2
分割キーボードで、初心者にもお勧めで、今日から作り始めたい、という需要を伝えた結果、
今回購入したのはLily58 Pro | 遊舎工房になりました。
自作すると言う観点で言うとキーの数は少ない方が作りやすいとは思うんですが、
数字キーは残したかったのと、キースイッチを基板にはめ込む形式でとり換えが簡単という点が選択理由です。

キースイッチ

赤軸青軸茶軸とかよく言われる所というか、押されて凹んで電気回路に信号を送る部分を指します。
遊舎工房さんには色々なキースイッチの刺さっている台(テスター台?これのもう少し大きいヤツ)が置いてあって、
色々と押し比べることによって、今回はHako スイッチのvioletを選択しました。
そこまで反発の強くない、それでいて心地よい軽快な打鍵感が好みなんですよね。

ちなみに、このスイッチを選んだら店員さんがバイオレット・エバー・ガーデンの話を振ってきたので、僕はメイドインアビスの話をしました。

キーキャップ

キースイッチの上にかぶせる、実際に指で押す部分を指します。
遊舎工房さんの店頭に置かれていたサンプル品のキーキャップが結構好みだったのですが、品切れだったので、
そこまで華美になりすぎずそれでいて色の選択肢も色々ありそうな MDA ORTHO VoID | 遊舎工房 を選択。
PBTとABSという素材の違いがあって-と言う話もしてもらえたのですが…ぶっちゃけ色が全てでした*3

組み立てるフェーズ

遊舎工房さんの店舗では、二時間500円で工作スペースが利用可能になるので、そちらで早速組み立てて行くことにしました。 組み立て手順とかはLily58/buildguide_jp.md at master · kata0510/Lily58 · GitHub に記載の通りで写真もあるので、改めて書くことでは無いですが…

買ったものがこれで f:id:yaoshimax:20191104150148j:plain ソケットとダイオードを半田付けしていってf:id:yaoshimax:20191104154335j:plain イヤホンジャック的なパーツ(TRRSジャック)付けて f:id:yaoshimax:20191127170514j:plain LED部分(OLED)つくって付けて f:id:yaoshimax:20191127172836j:plain キースイッチつける板と重ね合わせてねじどめしてf:id:yaoshimax:20191127182320j:plain キースイッチをはめ込んで f:id:yaoshimax:20191129172837j:plain キーマップを書き込んで f:id:yaoshimax:20191129180403j:plain キーキャップはめれば f:id:yaoshimax:20191129184715j:plain 完成です!

作ってみた感想

ね、簡単でしょ?と言いそうなくらい雑な見せ方をしましたし、手慣れてる方には簡単に思えるかも知れませんが、
半田ごてを持つのが10年ぶりという素人としては、結構苦戦することも多かったです。

手順書にある単語がそれぞれどの物体を指すものなのがわからず手順書を凝視していたら店員さんに心配される所から始まり、
半田ごての使い方を軽く教わり*4
予めダイオード等は小皿(?)に出しておくと良い等の手順的なアドバイスを多々いただき、
TRRSジャックをつける面を真逆にしてしまったのを半田吸い取り機で救ってもらい…と、
ただ工作スペースを提供して貰う以上に、満足度の高い時間を提供して貰っていたと思います。
本当にありがとうございます。

ちなみに、一回目の訪問であと少し…という所まで作った気でいたのですが、
その後二回改めて工作室目当てにお店に訪問しました(LED部分つけるのがまだだったのと、リセットスイッチを半田付けしわすれていたことが発覚した)。
二個目をつくるんだったら半田付けセット購入しても良いなと言う気がするんですが、
工作室の雰囲気も結構気に入ってしまったので悩む所です。

使って見た感想

分割キーボードとはいえ数字キーは残してあるしQWERTY配列ならさして苦労することもないだろう、
と思っていましたが、意外と苦戦を強いられています。

苦戦の具合は数値で可視化する方がわかりやすいと思うので数値化すると

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普段のパフォーマンス
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自作キーボード利用時のパフォーマンス
になる位。

現在進行形でこの記事は自作キーボードを使って居るのですが、慣れるのはまだまだこれからですね。

以下、つらつらと印象深かった部分を書いていきます。

Column Staggeredに慣れが必要

キーの縦列がぴったり揃ってるものをColumn Staggeredと呼ぶようです。今回作ったキーボードはまさにそれ。
大して購入時には心配していなかったですが、これが一番慣れが必要でした。

例えばMUを打つ場合、僕はMを右手中指、Uを右手人差し指で押すようにしていましたが、
一般的なキーボードのようにキー配置が斜めになっていれば可能なこの運指も、
キーボードが縦に揃ってると、右手中指と人差し指を中指を下にして垂直に並べるような格好となり、非常に打ちづらいです。
MUNIを中指人差し指人差し指中指の順で押していくのが地獄。むにむに。
Mを人差し指で叩く運指が最適解な気がするのですが、なかなか直らないので今後どうするかはなやみどころです。

MUに関わらず、UIOの並びが一般的なキーボードよりも右側にあるので、全体的に日本語が結構難しい。
NOを打とうとするとキーの距離が遠く感じるし、他の細かい所でいえば、BやZやPあたりのタイポがなかなか直りません。

…ただまぁ、これらは使っているうちに徐々に慣れてくる範囲だとは思います。
これが自作キーボードじゃなくてテキトーに買ったものなら投げ出していたかも知れない。
そう言う意味では思い切って自作しておいて良かったかもしれません。

意外と配列はJIS配列っぽい。でもなんか書いてあることと違う気もする(大嘘

記事公開してから割とすぐにここは自分の過ちに気がついたので次回のネタにします
自作キーボードのキー配列は英字キーボードベースであることが多いと聞いていたので、
US配列使っていく覚悟を最初からしてはいたのですが、[Shift+2]が["]なのとかどう見てもJIS配列ですね。
US配列で[Shift+2]をした時に出るはずの[@]はGの右側にあったりします。
しかし、手順書に記載されたキーマップによれば、Gの右側は本当は[{]になるはずだったのでは…
もしかしたらキーマップの書き込みに失敗しているのかも知れませんが、
何を押したら何が出るのかいまだにハッキリしていません。
なんにせよ、これはキー配列も自分向けにカスタマイズしろってことなんでしょうね、きっと。

親指で色々なことができるのは慣れると楽しそう

右手親指のホームポジション的な場所にあるキー(水色無印)はエンターで、押すのが気持ち楽になったかもしれない。
後はLOWER,RAISEと言うキーが左右の親指担当箇所にそれぞれあって、
SHIFTとはまた違う、第三第四の使い方をキーに持たせることができるようになってます。
ここは使いこなしたら面白そうですね。

-の位置には可能性を感じる

一般的なキーボードではPの右上にあるーですが、このキーボードではなんとPの右側についています。
少し使って居て分ってきたのが、このキーはエンターキーを押すようなノリで右手小指を使と存外押しやすいです。
右手薬指を伸ばして押していたよりも早く打てそうな気がする。

両手を開いてキーをたたけるのはやはり楽

一度使って見てから元のキーボードにも取ってみると、両手をかなり近づけているなと感じます。
分割キーボードを使った方が胸を開きやすいので、姿勢改善には想像以上の効果が期待できそうです。
職場と自宅でそれぞれ長時間キーボードに触れていることを考えると、将来的には両方分割にした方が良いのかな…
気が向いたら&慣れてきたら二台目はひょっこりつくるかも知れません。 *5

終りに

と言うわけで、念願の?自作キーボードデビューしてみたという話でした。
長々と書いてしまいましたが、一言で言えば、
思ったよりも苦労し、思ったより楽しく、思ったよりすぐ使いこなせない、という感じです。
総じて楽しい。
OLEDやキーマップのカスタマイズは今後の課題です。

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練習の成果で今はこのくらい
 

*1:と言う体で話を進めますが、聞いたことがあるかどうかはさして重要ではないです。ついでに言えばいまだに僕は赤青茶軸の違いをサラで説明できません。青がカタカタ五月蠅いヤツだっけ?くらいの雑な認識で生きてます

*2:これを称してキーボードと書かれることもあるようですが、個人的に分りづらいのでこう記載するようにしました(界隈的によく使われる用語ではないです)

*3:キーキャップの素材と形状まとめ - Sansan Builders Box 曰くABSより耐久性があるヤツらしいです

*4:ちなみに二回目に言った時には半田ごての使い方的な補足が工作スペースに掲示されてました。僕のせいだったらごめんなさいと思いつつ、このホスピタリティの高さはとてもありがたかったです

*5:二台目は出来合いのものを買う、と言う選択肢もあるんですが、今の所それよりは作りたい気持ちがあるんですよね。これが沼か、沼なのか。