やおよろず

ゆるふわな内容を書いても良い。と言うか何でも良い。そんな自由度の高いブログをめざします。

今年読んだ小説について

この記事は 穏やかなぴょこりんクラスタ Advent Calendar 2025 のために書いたものです。

1年ぶりで予約投稿の仕方を忘れて一瞬フライング投稿しましたが、もし見かけた人がいても見なかったことにしてください。

はじめに

今年もアドベントカレンダーの季節ですね。早いものです。
昨今の AI ブームだったり私生活の変化なりで今年はプログラミング系の話題が全くないぞ…と思ったのですが、
去年のアドベントカレンダーを見たらひたすら Facebook Hackercup について語っていたので、
今年は柔らかい話題ばかりでも許されるだろう。去年の僕ぐっじょぶ。

競技プログラミングから距離が遠ざかってきて以降、僕は休日の時間の使い方が迷子になりがちなんですが、 今年は年始の休みやGW休みにガッと小説を読む機会が多くありました。

というわけで、今年読んだ小説について振り返ろうと思います。 1月と5月あたりの話を振り返りながら書くので割と雑だったりシンプルだったりするのは許してほしい。

ハサミ男

ハサミ男

概要

死体の首筋にハサミを突き立てる類の連続殺人鬼がいます。 ハサミ男が殺そうとした人がいました。 が、なぜかその人が首筋にハサミを突き立てられて死んでいます。 ハサミ男が殺してないのに。なぜにホワイ、となる話。

感想

どんでん返しミステリと言えばこれ、とよく言われる作品。 前評判通りというか、長らく語り継がれるだけのクオリティだった。 最後が味のある終わり方なのもよかった。

十角館の殺人

十角館の殺人〈新装改訂版〉 「館」シリーズ (講談社文庫)

概要

孤島にある十角形をベースとした建物「十角館」に 推理小説研究会のメンバーが合宿をするが、そこで連続殺人が起こる。 一方、島の外では、合宿不参加の先輩の元に、連続殺人の動機とも思えるような手紙が届く。 島の中の話と島の外の話を行ったり来たりしながら進んでいく物語。

感想

ミステリの大御所とよく言われる作品。ようやく読めた。
種を明かしてしまえば「あーね」とはなるものの、
読んでいる最中には真相にはたどり着けなかったし、
記憶を消してもう一度読みたいと言ってた人がいたのもわかるなぁ、って感じ。

動物城2333

概要

人間並みの知能を持つ動物たち(たぶん二足歩行とかする)が、動物の国を持っている。
人間国とは冷戦状態。
そんな中、動物の国に、人間の大使がやってくる。
が、人間の大使が死体で発見される。
このままだと国際問題になりそうで困った…という話。

感想

作者がそれ系の創作も手掛けてる方っぽくて、
割とマダミスのような、いろんなキャラのいろんな目的・思惑が交錯する類の話。
そもそも世界観がファンタジーということもあるので、
普通のミステリとは一風変わったテイストなのが良かった。

地雷グリコ

概要

地雷を3か所だけ設置できるグリコ(地雷グリコ)で文化祭の露店のポジション争いをする… という冒頭から始まり、
グーチョキパー以外の技を一つずつ追加したじゃんけん(自由律じゃんけん)など、
多様な面白ゲームでいろんな対戦・決め事が行われる話。
しまいには学校同士の抗争にまで話が発展していく。

感想

今年読んだ中で一番かも、ってくらい面白かった。
ダウナー女子な主人公がひょうひょうとゲームで対戦相手を出し抜くのが見ていて爽快。 なじみ深いゲームに一味加えただけで深みが増す感じのゲーム設計も面白いし、 少しずつ勝負事の規模がでかくなるのに対して、見劣りしない展開・対戦相手のキャラ付け・結末までの流れも良かった。

Q eND A

概要

早押しクイズをします。クイズに負けたら頭がパーンして死にます。 ちなみに個々人に特殊能力があります。 特殊能力がばれても頭がパーンして死にます。

感想

ぶっ飛んでるな~~~w って草をはやしながら一気読みするタイプの話だと思う。 とは言いつつ、終盤にはただクイズをするだけ以上の展開もあり、 一気に読み切ってしまったものの、読んでて楽しかった。

謎の香りはパン屋から

概要

このミステリーがすごい受賞作。 パン屋でバイトしてる主人公が中心の日常ミステリ。 「バイト仲間で親友とライブビューイングを一緒に行こうと約束してたのに、ドタキャンされた。でもなんか親友の様子に違和感がある…」 みたいな謎を解決するところから始まる短編集。

感想

このミス選評でも色々語られていたけれど、
ほんわか優しいミステリで、うまくまとまっている、という授賞理由がとてもしっくりくる。
ミステリとしてすごくとがってるとかじゃないけれど、
パン屋に入った時にいい香りがしてつい顔が緩んじゃうような、おなかのすく、優しいお話だった。

この手の日常ミステリ結構好きなんだけど、北村薫さんの空飛ぶ馬くらいしかほかに知らない。おすすめは緩く募集しています。

恋とか愛とかやさしさなら

概要

婚約した恋人がいました。
翌日、恋人が盗撮によって逮捕されました。
なんで???ってなるし、その上で恋人を許せるかどうかで揺れ動く話。

感想

あぁ~、こういった論理とかだけじゃ説明つかない行動、人間してるな~~~! という感想になるというか、人間を感じることができる作品。

とはいえ、僕はバリバリの理系脳なので、首をかしげてしまったり「そうはならんやろ」って言いたくなるところもあるけれど。
人間って理解できないものだしな、うん……って思う。

カフネ

概要

弟をなくした姉と、弟の元カノがいます。
なんやかんやでこの二人で一緒に家事代行サービスをすることになります。

家事代行サービスでいろんな家庭に触れつつ、
弟をなくした苦しみから立ち直ったり、 人と人のつながりや絆を深めていく話。

感想

メインとなるキャラクター二人がそれぞれ弱さと強さを持っている上、 家事代行というテーマでいろいろな人間を感じることができる作品なため、 読んでいて力づけられるような、心温まる話だった。

この後に今年の本屋大賞ノミネート作品が結構続くんですが、
本屋大賞受賞作なのもめちゃくちゃ納得。

読み終わった後に勢いでなんとなく母に勧めた本(その1)。

小説

概要

主人公は、本の虫でした。
本の虫は、読書仲間を見つけ、学校付近にある屋敷の書庫で読書三昧の日々を送ります。
しかし、二人にはちょっとした違いがありました。
本の虫は読む専でしたが、読書仲間は物語を書く方の人でした。

感想

「なぜ小説を読むだけではだめなのか」に一定の解を見出す小説、という理解。
作者が提示した解にも一定の納得感はあるけれど、
自分個人にはそこまで腹落ちしなかったというか、
たぶん大元の疑問についてそこまで深く思い悩んだり困ったりしてなかったのかな、と思った。

後半いきなり「流れ変わったな」展開な節があるので、若干そこで振り落とされてしまった感じも無きにしも非ず。

禁忌の子

概要

お医者さんが水死体の検死をしようとしたら自分とうり二つな死体で超びっくり。
一人っ子のはずなのに… と思いつつ、自身の生まれや両親について少しずつ探っていく、という話。

感想

一応ミステリというカテゴリではあるけれど、
おそらく作者が書きたいのはミステリというより、
タイトル通りの「禁忌の子」があらわしている社会問題とかその辺の話な気がする。

ただ、そのテーマや落ちも含めて全体としては楽しめてよかった。

死んだ山田と教室

概要

クラスメイトの人気者である山田が交通事故で死にました。
お通夜モードの教室の中、なぜかスピーカーから山田の声が聞こえてきます。
どうやら山田とスピーカー越しに会話できるようです。

感想

序盤の会話劇は本当に男子高校生のノリなので若さを取り戻したいときにとても良かったし、読んでいて元気になる。
一方で、卒業の日を迎えてもまだ話が続く…ってところにも一工夫があり、
そこからはまた物語の雰囲気が変わって味わい深い。

結末はなんとも言えない余韻がするタイプの話だった。

アルプス席の母

概要

野球推薦で大阪の高校で両暮らしをする息子…を応援する、シングルマザーお母ちゃんの話。

感想

名門校だと父母会っていう概念があって…とか、
父母会も学年の違いで軋轢があって…とか、
身の回りに知り合いもいない大阪で奮闘する母と、
野球部の中でのポジション争いで思い悩んだりしながら、あっという間に成長していく息子…という、
高校生の頃のフレッシュさ、成長の早さ、パワフル母ちゃんの逞しさを感じる小説だった。

読み終わった後に勢いでなんとなく母に勧めた本(その2)。

全員犯人、だけど被害者、しかも探偵

概要

社長室で社長が殺されました。
関係者が廃墟に集められ、閉じ込められました。 廃墟の中のスピーカーから、「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」と言われました。

みんながこぞって犯人としてトリックを主張し、
他の人が片っ端から推理の穴を指摘し…と、
みんなが犯人や探偵や被害者をやりまくる小説。

感想

コンセプトは面白いけれど、
タイトルで広げすぎちゃった風呂敷を畳むのにちょっと無理やり感がなくもない。
ただ、そういった粗削りな部分も含めてハチャメチャ感を楽しむには良いのかな、ってタイプの小説。

方舟

概要

10人くらいの男女がが地下建造物に生き埋めになりました。
一応、誰かひとりが犠牲になれば、入口を開けることができそうではあります。

そんな中、地下建造物の中で殺人が起こりました。

…ほな、犯人に犠牲になってもらおうか…しかし誰が犯人なんだろ…という話

感想

最後のどんでん返しにはしびれましたね~
個人的にはどんでん返しっぷりではハサミ男よりも方舟が好きだったかも。

根本的な舞台設定や、生き埋めになるまでの流れなどにはやや違和感もあるけれど、
そこさえ飲み込んでしまえば楽しめると思う。

生殖記

概要

物語の語り手が生殖器です。 語り手の宿主(?)は性的マイノリティな独身男性です。

宿主の日常やら性の悩みやらを生殖器の目線でコミカルに描いていく話。

感想

うーん、設定の勝利w
設定が面白いという観点では「全員犯人~」とかも同様なのだけれど、
ミステリじゃないという土俵の違いもあってか、話の違和感やらも感じずにただただ面白く読めた。

宿主の悩みや葛藤などいろいろと聞かされた上でこの結末は…ハッピーエンドなんだろうか…?
という疑問はちょっと感じつつ、最終的には本人がなんか吹っ切れて幸せそうならそれでいいのかもな、という、
人間を感じる感じの読後感だった。

おわりに

今年読んだ小説の雑紹介でした。
たぶんちゃんと感想とか記録するならそれ用のサービスとか使って書いた方がいいんですが、
そうすると義務化感じちゃって逆に面倒になるタイプなので、
こういうタイミングで放出するのが一番気楽ですね。